スマートブルー株式会社様はどのような企業かご紹介ください。
弊社は、2010年の創業以来、再生可能エネルギー事業とアグリビジネス事業において、SDGsそして脱炭素化の実現に向けて取り組んできました。私たちが生きる現代は、モノとカネに溢れ豊かになりましたが、その一方で資源は消費され続け、社会は大小様々な紛争により疲弊しています。持続可能な発展を可能にする、今より暮らしやすい未来を創るために、私たちは人と地球の持続可能性に挑戦しています。
具体的には、企業や地域への太陽光発電および農業を続けながら太陽光発電も行うソーラーシェアリングの導入促進で、私たちの生活に欠かすことのできないエネルギーと食の安定供給に貢献し、持続可能な社会の実現を目指しています。
また、社名のSMART BLUE、「スマートブルー」には「スマート=かしこい=持続可能」「ブルー=海・空・大地=地球」合わせて「スマートブルー=持続可能な地球」という思いが込められており、創業当初から現在のSDGsにつながる企業活動を展開しています。
SDGsへの取組みについて教えてください。
弊社は、事業を通じて再生可能エネルギーの普及や新技術の活用、地産地消のまちづくりなどに取り組んでいるほか、教育やジェンダー平等、社内研修、大学生を対象としたSDGs講義のファシリテーション、福利厚生、資格取得補助等にも取り組んでいます。
中でも事業を通じた「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を重点目標に置き、太陽光発電事業とアグリビジネス事業の発展を通して、SDGsの達成、脱炭素推進に取り組んでいます。
太陽光発電事業とアグリビジネス事業について具体的な内容を教えてください。
太陽光発電は発電時に温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーで、企業の事業所や地域で太陽光発電由来のエネルギーを消費することで脱炭素化を図ります。ニーズに合わせた多様な導入手法の提案が弊社の強みで、お客様の状況に合わせ最適な導入を後押しします。
太陽光発電のメリットや助成制度、公的な支援制度などはメディア等でも取り上げられていますので、皆さんご存知の部分が多いと思います。国を挙げて導入に積極的に支援を行っていますが、実際その申請には膨大な申請資料が必要で、頭を悩ませることが多いのも事実です。弊社ではそうした補助金や、各種手続きにおける申請代行も行っています。
アグリビジネスにおいては、耕作放棄地の増加や就農者不足、高齢化などが課題となっているなかで、省力化および脱炭素化されたソーラーシェアリング営農モデルを提供しています。これは、農業を営む同一の農地内で太陽光発電のエネルギーを生み出し、農業で排出される温室効果ガスを相殺し、長期的に発電によって利益を創出するという、1つの農地で農作物と再エネを生産できることがサービスの特徴です。
近年では、脱炭素および再エネ推進の観点から、企業の資金も注入されるようになり、大規模化であったり先進農業であったりと、より多角的な取り組みが見られるようになりました。
弊社では、ソーラーシェアリングの架台を活用した農業ハウスや養液栽培、ITによる農業センシング、水耕栽培、高単価作物への挑戦など、ソーラーシェアリングの可能性を日々追及しています。
ソーラーシェアリングについてより具体的な内容について教えてください。
弊社では、静岡県初の稲作ソーラーシェアリング認可実績を始めとして、全国的にも先行事例がない中、2013年当初から数多くのソーラーシェアリングを手掛け、常に静岡県のトップを走り続けてきました。ソーラーシェアリングは太陽光パネルの影の影響から、影に強い作物にしか適さないと思われがちですが、弊社では、水稲、お茶、レモン、榊、ブルーベリー、かぼちゃ、大根、落花生など多様な作物での導入事例があります。
また、静岡県立大学、東京大学、愛媛大学との共同研究を通して、貴重なデータを収集しているほか、経営革新企業の認定を取得した「影の見える化」ソフトにより、ソーラーシェアリング設備の影がどのように落ちるかのシミュレーションができるなど、これまで培ってきた知見やデータ、経験をもとに静岡から全国にスマートブルーのソーラーシェアリングを発信しています。
社内でのSDGSの取組みとしてはどんなことをしていますか。
まず、社員のほとんどがマイボトルを持参しています。
これまで弊社では、来客用のミネラルウォーターはペットボトルでお出しし、空いたペットボトルとキャップは、いずれもリサイクル業者に引き取っていただいていました。
しかしながら、さらに環境に配慮するためにウォーターサーバーへ切り替え、導入後はマイボトルを持参してくる社員に水の利用を無償提供し福利厚生の一部として喜ばれています。
社屋前に設置している自動販売機についても、ペットボトル飲料の販売を中止し、全て缶に切り換えました。
女性人材の雇用にも力を入れています。電気工事会社としてのルーツを持つ弊社は、その事業の特殊性や危険性から男性採用が多く、創業から数年間の女性比率は1%代でした。しかし、近年では新卒採用、中途採用、パート・アルバイト採用で女性を積極的に採用し、現在では40%以上に高めることが出来ました。特に新卒採用においては、将来の幹部候補として採用を強化しています。
その他にも、スマートブルーでは毎月の社内研修や社外コンサルタントによる各種研修、資格取得や社外研修への援助制度などで創業当初から人材育成に力を入れています。
社外に対しても、SDGs研修のファシリテーションやゲーム形式の経営研修、小学校などでの職業体験などを実施し、社内に限らず自ら持続可能とは何かを考え行動できる人材を育てています。
その他、社用車にはEV車およびハイブリッド車を採用し、空調を最新の高効率空調に置き
換えたりもしています。
本業においても環境に直結しており、また、社内での取り組みにおいても様々な活動をされていますが、スマートブルー株式会社様の社内はもともとそうした熱量が高い社員様ばかりだったのでしょうか。
弊社は社会の盛り上がりに先行してSDGsに取り組み始めたために、取り組み当初は社内の理解度が十分ではなく、社員間でも温度差がありました。SDGsに関する情報発信をウェブサイトやSNSで行ったり、月1回の社員研修でSDGs研修を複数回にわたって実施していく中で、社員の理解度も深まり、社内での何気ない会話の中でもSDGsという単語が飛び交うまでになりました。ゴミ箱や水回り、社用車などにSDGsのポップやステッカーを社員が率先して貼りだすようになりました。社員の意識も高まっていく中で、弊社の場合は、同じようにSDGsに取り組んでいる企業とのネットワークができ、本業の事業で協業ビジネスなどの機会に繋がるといった、経済効果がありました。
また、弊社は太陽光発電による企業の脱炭素化をソリューションとして掲げる一方、以前は自社の温室効果ガスの見える化ができていませんでした。事業活動で排出されている温室効果ガスの見える化は脱炭素経営の第一歩ですので、そうしたところから始めることも、もしかしたら新たなビジネスチャンスに繋がるかもしれません。現在弊社では、
見える化サービスを導入し、運用をしています。
今後、2030年に向けてSDGsはさらに多くの企業が取組み、一丸となって推進していくことになりますが、スマートブルー株式会社様が目指す未来像を教えてください。
SDGsは啓蒙の期間が終わり、実行および成果を出す期間に入っており、SDGsを標榜する企業には地域社会に対して目に見える成果を出すことが求められています。弊社であれば、静岡産の再エネの地産地消割合や、企業活動における脱炭素率の向上などが今後の課題だと思います。
脱炭素については、まず脱炭素推進が必要とされる大元の要因である、今世紀後半までにこれ以上の気温上昇を抑制しないと日々の生活が脅かされるという科学的根拠に基づいた警鐘に対して、温室効果ガス排出の大部分を占める企業の経営者や事業担当者が危機感と責任感を持つことがスタートだと思います。近年では2030年までに決定的な変容がないと達成は難しいというレポートも報告されているので、こうした切迫感を社会全体で持つことが必要だと思います。
そのために弊社は、2030年までに自社で最終的に消費するエネルギーをすべて再エネで賄うことを掲げ、できる限り早期での達成を目指しています。
エネルギーと食の地産地消を推し進めることで、県外から人と資本を呼び込み、静岡をより魅力あふれる街としていきたいです。