文字サイズ
店舗・ATM

藤浪瑛智 日本画展 ~駅から、ひかるもの~

藤浪瑛智 日本画展 ~駅から、ひかるもの~

 静岡市を中心に活動しています、日本画家・藤浪瑛智です。
 この度、近作の3号小品から大学院修了制作の200号まで、約20年間の日本画作品18点を展示しています。
 ご高覧いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

制作活動への思い

 学生時代は、実際の風景をもとに、心象風景を描いてきました。現場で数時間かけてスケッチし、それを本画に描き起こすというスタイルです。
時間を沢山費やしてじっくり描けるのが、学生身分の良さではありましたが、社会人になると、学生の頃と同じスタイルで描くのはやはり難しくなってきました。
 最近は、植物や人物を取り入れた風景など、描く対象が広がってきました。画面全体に箔を使ったりと、日本画独特の素材の良さを生かしつつ、パステルや色鉛筆など様々な画材を取り入れて、今を生きる日本画家として常に新しい表現を追究しています。
 旧作と近作が混じり合う今回の展示では、同じ作者の作品でありながら、描き方の違いをはじめ、約20年間の作風の変化を感じていただけるかと思います。
 作家としてはまだまだ若手の類に入りますが、学生の頃から今日まで一貫して表現を試みているのは、「今と向こう(未来)をつなぐ」ことです。私の作品は完全な抽象画ではありませんが、観ていただく方の価値観によっていろんな解釈がもたらされます。ぜひ自由な視点で楽しんでいただけましたら、私としましてもこの上ない喜びです。


 

日本画の「魅力」は何ですか?

 日本画という言われ方は、そもそも技法材料に関して、西洋画(油絵)との違いを明確にするためのカテゴライズに過ぎないと、私は考えています。日本画の技法材料は…と言いますと、特徴的なのが膠(にかわ)や岩絵具、和紙です。
 中でも岩絵具は、粉末状の細か目のものから砂利のような荒目のものまで、同じ色名でもバリエーションに富んでいます。天然ものは宝石と同じなので、高価で使いづらい印象はあるかもしれませんが、多くの日本画家がご長寿でいらっしゃることを考えると、幾つものパワーストーンを好きなように手軽に扱えるのが日本画の魅力のひとつでしょうか。
 私は学生の頃、キラキラと光る荒目の方解末(方解石の粉末で無色透明)が好きで、よく他の色絵の具と混ぜて使っていました。そこからマチエール(画面の凹凸)の研究に発展して、今では色んな画材との相性を試してみています。素材の美しさから日本画に魅かれていく人も、きっと少なくないでしょう。


 

その他(趣味等、芸術活動以外に取り組んでいることなど)

 自宅アトリエにて、園児以上の子どもたちを対象にした絵画教室を主宰しています。また、中学・高校で中高生に美術を教えたり、カルチャースクールにてシニアのみなさんに、日本画や水彩画制作のアドバイスをしたりしています。
 その中で私も一緒になって感化され、自分の制作スタイルを再考したり、新しい工夫を作品に盛り込んだりと、とても良い刺激をいただいています。