家内と二人で各地を訪ねる事は、定年退職後の日々に活力を与えてくれました。その思い出を、ペン画と記録に残す作業が私のライフワークとなりました。
一昨年、一足先に天国へと旅立った家内も、今回の展示会開催を喜んでくれていることでしょう。
身近で馴染みのある風景が、ご覧いただいた皆様の心に寄り添ってくれることを願います。
私は車を運転しないので、まずは訪れる場所と、ルートの下調べが必要です。その過程が、まず楽しいのです。
基本的に旅は、JRの青春18きっぷを利用した、日帰りの積み重ねです。
街道部分は、昔の人達と同じように徒歩で探索します。それは、古人に思いを馳せることにもなります。広重の絵と全く同じ風景に出会った時は感動し、その魅力に引き付けられました。
紙とペンがあれば絵が描けて、場所も取らず、汚れも出ません。ペンは1本数百円と安価で、年金暮らしでも気兼ねなく使用できます。
また、ペンのモノクロ線だけでも絵として成立するし、その上から透明水彩で色付けし、水彩画として楽しめるのも、いいですね。
街道旅では、昼食を取るのが、実は大変でした。現代のルート整備された道ではない、古い道を歩くので、食事のとれる店はほとんど見つかりません。常に、おにぎりや干し芋、干し柿など持参しました。パンやスナック類は、喉が渇くので不向きです。でも、意外にも、飲み物には苦労しませんでした。田んぼしかないようなところでも、自動販売機が置かれていたからです。
それから、トイレにも苦労しました。特に家内は。
さった峠のあたりを歩いていて、農家の方から、リュックいっぱいの夏みかんを頂いた事もありました。
箱根では野猿と遭遇して、怖かったです。